親鸞仏教センター
親鸞の視点には、いつも自分を自分のへそのあたりから見るようなところがある。決して頭の上から見下ろすことをしない。かといって、自分の外部から突き放して見るのでもない。内臓の中にあたかも内部を照らす鏡を置くように、じっくりと自分を見つめていくのである。その眼で同時代の人間のありさまを見据え、その鏡で過去・未来・現在の濁世(じょくせ)の本質を見抜いていくのである。
「濁浪清風」第1回