親鸞仏教センター

親鸞仏教センター

The Center for Shin Buddhist Studies

― 「現代に生きる人々」と対話するために ―

講座のご案内

 2023年度は、5名の研究員がそれぞれの研究分野に応じた5つのテーマを設定し、全7回の講座を開催いたします。

 仏教・歴史教育社会など様々な切り口から、テクスト(文献)を読むこと、あるいはコンテクスト(文脈・背景)を捉え直すことを通して参加者の皆さまとともに学んでまいりたく存じます。

 皆さまのご参加を心よりお待ちいたしております。

※講座への参加申し込みは👇の緑色のボタンをクリック

大胡
講師:大胡 高輝
《全2回》
🕕2024年1月 9 日(火) 午後6時〜
🕕2024年1月16日(火) 午後6時〜

『教行信証』を読む

─自他関係をめぐる思考─

講師からのメッセージ

 親鸞の主著とされる著作『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)は、その形式の異質さや関連史料の乏しさゆえに非常に難解なテクストとして知られ、このテクストをどのような方法で読めばよいのか、またこのテクストからどのような親鸞像を描き出すべきなのかといった基本的な問題が今なお、宗門における教学研究をはじめ、哲学研究・思想史研究・歴史学研究などのさまざまな場で問われつづけています。
 本講座では、上記の問題について、実際に『教行信証』解釈の作業に取り組むことを通して再考します。具体的な解釈作業を進めるなかで、テクストを読むという営みそのものの内実を問いなおすとともに、親鸞の思考が一貫して、あるべき自他関係を求めて展開されたものであったという新たな可能性を探ることができればと考えています。

繁田
講師:繁田 真爾
《全2回》
🕕2024年1月23日(火) 午後6時〜
🕕2024年1月30日(火) 午後6時〜

宗教教誨の歴史を学ぶ

―教誨師の声を手がかりに―

講師からのメッセージ

 現在、刑務所をはじめとする日本の矯正施設では、宗教者による教誨活動が行われています。「教誨」とはもともと「教えさとし戒める」という意味の仏教用語ですが、現在では、被収容者の更生や社会復帰を支援することがその主な目的となっています。それでは日本の宗教教誨はどのように誕生し、現在までどのような変遷をたどってきたのでしょうか。
 本講座では、時代を代表する教誨師たちの手記などを読みときながら、2回にわたり宗教教誨の歴史を学びます。教誨師たちの残した声や記録には、その時代の矛盾や社会課題などがまるで凝集点のように表現されています。私たちはなぜ罪を犯すのか、どうすれば犯罪を防ぐことができるのか。そして人間はどのようにすれば更生することができ、刑罰としての死刑は正当といえるのかなど、そこには自他ともの人間存在や社会関係への深い問いかけが含まれています。そのような教誨師たちの声を手がかりに、宗教教誨の歴史とそこで語られたさまざまな課題について、参加者の皆さんとともに学び考えてみたいと思います。

徳田
講師:徳田 安津樹
《1回完結》

🕕2024年2月6日(火) 午後6時〜

道徳・倫理の教科書を読む

講師からのメッセージ

 「人間いかに生きるべきか」に答えを出すことは難しい。ましてや、それを人に教えることはもっと難しい。いったい、自分でも分からないことを、どうして人に伝えられよう。だが教える立場にある者は、必然的にこの問題と付き合わされることになる。少なくとも日本の学校教育に従事する教師たちにとって、教育基本法に「人格の完成」が教育の目標として掲げられている以上、それはなおさらのことである。そして、「分からないのに教えなければならない」という立場に立たされる教師は、その度に、第一の問い、「いかに生きるべきか」の問いの前に突き返されることになる。とりわけ2018・19年に道徳が教科化して以降、このことはより複雑な課題として立ち現れているだろう。現場に立つ教師は、生徒と共同的に答えを探すはずだが、その対話は教材をめぐって行われることになるからだ。
 本講座では、道徳教育のハブとして位置づけられている教科の教科書を読みながら、各テクストが体現している制度的に定められた「道徳的諸価値」に向き合いつつ、その背景をなしている道徳観を分析する。同時に、テクストが示す別の読みの可能性も検討してみたい。

古畑
講師:古畑 侑亮
《1回完結》

🕕2024年2月13日(火) 午後6時〜

幕末・明治の天文学書をよむ

―国学者の宇宙とお坊さんの宇宙―

講師からのメッセージ

 皆さんは、地球は回っていると思いますか?それとも回っているのは天空でしょうか?
 「それでも地球は動く」といったのは、17世紀イタリアのガリレオ・ガリレイですが、日本でも江戸の終わりに近づくと、西洋天文学の知識が広まりを見せ、地動説を理解している人も少なくありませんでした。一方で、明治の世になってからも「それでも地球は回っていない!」と主張する学者さんやお坊さんがいました。
 宇宙の形を考えることは、世界をどう認識するかという個々人の価値観と関わってきます。よって、どちらか一方が正しいと決めることは、実はそれほど容易なことではありません。たとえば、日本では、理科や地学の授業で地動説を教えられますが、海外では「地球平面説」をはじめとした天動説を唱える人々が今でも多く存在するのです。
 本講座では、神話的世界観と仏教的世界観に立ったふたりの人物の著作を紐解くことで、現代から見ると“トンデモ天文学”とも思える幕末・明治の宇宙論について皆さんと一緒に考えます。それはきっと、現代社会において揺らぎつつある科学や宗教のあり方を考える手がかりにもなるはずです。

宮部
講師:宮部  峻
《1回完結》

🕕2024年2月20日(火) 午後6時〜

宗教のリアリティを捉える

―ロバート・ベラーの「象徴的実在論」―

講師からのメッセージ

 宗教社会学者であるロバート・ベラーは、『徳川時代の宗教』、「アメリカの市民宗教」、『心の習慣』、『人類進化における宗教』など、多岐にわたる研究を展開しました。本講座では、ベラーが1970年前後に標榜した「象徴的実在論」を取り上げます。ベラーが一貫して問題としていたのは、啓蒙主義以来生じた神学的言語と科学的言語との分断であり、そうした分断を乗り越え、両者を架橋することでした。分断は、社会科学が宗教を利害や構造などの要因に宗教を還元する傾向に象徴されます。ベラーの「象徴的実在論」は宗教の実在を適切に捉えようとする試みであり、のちに規範・価値の問題を扱う公共社会学の実践に繋がります。
 本講座では、ベラーの「象徴的実在論」は、宗教現象をいかに適切に分析するかという今日の社会科学がなおも抱え続ける難題に取り組む手がかりになると示したいと思います。

大胡
講師:大胡 高輝
『教行信証』を読む
─自他関係をめぐる思考─
《全2回》
🕕2024年1月 9 日(火) 午後6時〜
🕕2024年1月16日(火) 午後6時〜

講師からのメッセージ

 親鸞の主著とされる著作『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)は、その形式の異質さや関連史料の乏しさゆえに非常に難解なテクストとして知られ、このテクストをどのような方法で読めばよいのか、またこのテクストからどのような親鸞像を描き出すべきなのかといった基本的な問題が今なお、宗門における教学研究をはじめ、哲学研究・思想史研究・歴史学研究などのさまざまな場で問われつづけています。
 本講座では、上記の問題について、実際に『教行信証』解釈の作業に取り組むことを通して再考します。具体的な解釈作業を進めるなかで、テクストを読むという営みそのものの内実を問いなおすとともに、親鸞の思考が一貫して、あるべき自他関係を求めて展開されたものであったという新たな可能性を探ることができればと考えています。

繁田
講師:繁田 真爾
宗教教誨の歴史を学ぶ
―教誨師の声を手がかりに―
《全2回》
🕕2024年1月23日(火) 午後6時〜
🕕2024年1月30日(火) 午後6時〜

講師からのメッセージ

 現在、刑務所をはじめとする日本の矯正施設では、宗教者による教誨活動が行われています。「教誨」とはもともと「教えさとし戒める」という意味の仏教用語ですが、現在では、被収容者の更生や社会復帰を支援することがその主な目的となっています。それでは日本の宗教教誨はどのように誕生し、現在までどのような変遷をたどってきたのでしょうか。
 本講座では、時代を代表する教誨師たちの手記などを読みときながら、2回にわたり宗教教誨の歴史を学びます。教誨師たちの残した声や記録には、その時代の矛盾や社会課題などがまるで凝集点のように表現されています。私たちはなぜ罪を犯すのか、どうすれば犯罪を防ぐことができるのか。そして人間はどのようにすれば更生することができ、刑罰としての死刑は正当といえるのかなど、そこには自他ともの人間存在や社会関係への深い問いかけが含まれています。そのような教誨師たちの声を手がかりに、宗教教誨の歴史とそこで語られたさまざまな課題について、参加者の皆さんとともに学び考えてみたいと思います。

徳田
講師:徳田 安津樹
道徳・倫理の教科書を読む
 
《1回完結》

🕕2024年2月6日(火) 午後6時〜

講師からのメッセージ

 「人間いかに生きるべきか」に答えを出すことは難しい。ましてや、それを人に教えることはもっと難しい。いったい、自分でも分からないことを、どうして人に伝えられよう。だが教える立場にある者は、必然的にこの問題と付き合わされることになる。少なくとも日本の学校教育に従事する教師たちにとって、教育基本法に「人格の完成」が教育の目標として掲げられている以上、それはなおさらのことである。そして、「分からないのに教えなければならない」という立場に立たされる教師は、その度に、第一の問い、「いかに生きるべきか」の問いの前に突き返されることになる。とりわけ2018・19年に道徳が教科化して以降、このことはより複雑な課題として立ち現れているだろう。現場に立つ教師は、生徒と共同的に答えを探すはずだが、その対話は教材をめぐって行われることになるからだ。
 本講座では、道徳教育のハブとして位置づけられている教科の教科書を読みながら、各テクストが体現している制度的に定められた「道徳的諸価値」に向き合いつつ、その背景をなしている道徳観を分析する。同時に、テクストが示す別の読みの可能性も検討してみたい。

古畑
講師:古畑 侑亮
幕末・明治の天文学書をよむ
―国学者の宇宙とお坊さんの宇宙―
《1回完結》

🕕2024年2月13日(火) 午後6時〜

講師からのメッセージ

 皆さんは、地球は回っていると思いますか?それとも回っているのは天でしょうか?
 地球の形をどう考えるかは、世界をどう認識するかという個々人の価値観と関わっています。よって、どちらか一方が正しいと決めることは、実はそれほど容易なことではありません。日本では、理科や地学の授業で地動説を教えられますが、海外では「地球平面説」をはじめとした天動説を唱える人々が今でも多く存在するのです。
 「それでも地球は動く」といったのは、17世紀イタリアのガリレオ・ガリレイですが、日本でも江戸時代の終わりに近づくと、西洋天文学の知識が広まりを見せ、地動説を理解している人も少なくありませんでした。一方で、明治の世になってからも「それでも地球は回っていない!」と主張する学者さんやお坊さんがいました。彼ら/彼女らは、海外から入ってきた最新の科学知識をどのように受け止めていたのでしょうか?
 本講座では、神話的世界観と仏教的世界観に立ったふたりの人物の著作を紐解くことで、現代から見ると“トンデモ天文学”とも思える幕末・明治の宇宙論について皆さんと一緒に考えます。それはきっと、現代社会において揺らぎつつある科学や宗教のあり方を考える手がかりにもなるはずです。

宮部
講師:宮部  峻
宗教のリアリティを捉える
―ロバート・ベラーの「象徴的実在論」―
《1回完結》

🕕2024年2月20日(火) 午後6時〜

講師からのメッセージ

 宗教社会学者であるロバート・ベラーは、『徳川時代の宗教』、「アメリカの市民宗教」、『心の習慣』、『人類進化における宗教』など、多岐にわたる研究を展開しました。本講座では、ベラーが1970年前後に標榜した「象徴的実在論」を取り上げます。ベラーが一貫して問題としていたのは、啓蒙主義以来生じた神学的言語と科学的言語との分断であり、そうした分断を乗り越え、両者を架橋することでした。分断は、社会科学が宗教を利害や構造などの要因に宗教を還元する傾向に象徴されます。ベラーの「象徴的実在論」は宗教の実在を適切に捉えようとする試みであり、のちに規範・価値の問題を扱う公共社会学の実践に繋がります。
 本講座では、ベラーの「象徴的実在論」は、宗教現象をいかに適切に分析するかという今日の社会科学がなおも抱え続ける難題に取り組む手がかりになると示したいと思います。

連続講座「親鸞思想の解明」

「本願力回向の行信 ―『一念多念文意』を読み解く―」

所長 本多 弘之による連続講座。
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定例講座『歎異抄』思想の解明

主任研究員 加来 雄之による定例講座(参加無料)。
毎月第3火曜日に『歎異抄』(蓮如本)の講読を行っております。
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