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ブックレビュー(書評)
2014年1月
『池田晶子―不滅の哲学』
  若松英輔     [トランスビュー 本体1800円(税別)]

 本書は、『魂にふれる―大震災と、生きている死者』や『井筒俊彦―叡知の哲学』などで知られる批評家・若松英輔による「池田晶子論」である。著者はある論稿の中で、自身にとって池田晶子とは、「この人物にはどうしても読んでほしい」という思いを秘めながら書く、「意中の人」であると語っている。
 池田晶子は、自身では「哲学者」と名のらず、「文筆家」として多くの哲学エッセイを書き残した。2007年に死して以降も、多くの書物が生まれ続け、そのすべてが未だ絶版になっていないという。彼女がものを書いたのは、自らの思想を語るためでも自己主張のためでもなく、「言葉=存在の側からの促しを時に受けるから」だという。
 そのような書き手としてのあり方を、著者は「自分が言葉を書くのではない。言葉が自分を用いるのだ」と言いあらわす。それゆえ、本書の中で語られるのは、決して一個人の思想や言葉ではない。むしろ、池田晶子を「場所」としてあらわれた言葉(「コトバ」と表記される)、あるいは「考える精神」である。「不滅の哲学」という題名はそこから名づけられた。
 そして、読み手に求められるのは、ただ活字のみを追うことではない。池田晶子という人間を貫いた「叡知の律動」を感じ取り、その「絶句の息遣い」に耳を澄ますことである。

コトバは、その姿を自在に変えて人間に寄り添う。読むとは言語に潜む無形の意味を呼び出すことである。読み手は文字を読みながらときに、色を見、音を聞き、永遠を感じたりもする。読むとは、コトバに照らされ、未知の自己と出会うことである。
(「あとがき」より)

 読んでいる最中、幾度となく想い起こされたのは、なぜか親鸞のことであった。本文中に数回その名が登場するものの、もちろん多くは語られていない。しかし、親鸞もまた、このような境界を確かに生きたのだと、強く感じた。

名和達宣(親鸞仏教センター研究員)

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