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研究活動報告
源信『一乗要決』研究会
 本研究会では、平安中期に活躍した恵心僧都源信(942 - 1017)が叙述した『一乗要決』をテキストとして取り扱う。源信が40歳の頃に著述した『往生要集』は著名であり、極めて重要な文献であることは言うまでもない。その一方で、晩年の60歳代で書き上げた『一乗要決』もそれと双璧をなす極めて価値の高い文献である。『一乗要決』の撰述意図とその思想背景を解明することによって、源信における一乗・仏性思想の核心部分に迫りたい。

源信『一乗要決』研究会報告①
東アジア仏性論争史における
『一乗要決』の位置
―源信研究の新たな射程―


親鸞仏教センター研究員
藤村 潔
 親鸞は、七高僧の一人に「源信僧都」を挙げて讃えている。親鸞は『往生要集』の所説に基づき「真実報土」「方便化身土」といった「報化二土」を分立したと宣言した。とりわけ『往生要集』の成立が鎌倉期の法然(1133 - 1212)と親鸞に継承されたことは浄土教思想史を語る上で決して外すことはできない。ところが、源信と親鸞を直線上に切り結ぶような論稿は、それほど多く見受けられない。

 かつて金子大榮は「本願信の蓮は菩提心の華に包まれていた。それが源空に至りて華開蓮現して、念仏為本の唱道となり、親鸞に至りて華落蓮成して、他力回向の領解となったのである。…(中略)…茲を以て源空は「念仏為本」の語を『往生要集』に見出し、親鸞は誓願一仏乗の思想を源信の言葉より領会せるのであった」(『金子大榮著作集』第5 巻、245頁)と述べている。金子に拠れば、師である法然は『往生要集』所説の「念仏為本」に注目したが、一方、親鸞は源信の一乗思想、すなわち「誓願一仏乗」を継承したものと捉えている。本文の中で金子は書名を挙げていないが、恐らく「誓願一仏乗」の淵源は、源信の『一乗要決』を指すものと推察される。
 『一乗要決』とは表題が示すように、大乗仏教の根幹を「一乗真実」と見極め、源信時分まで継続された論争を集大成した著述に他ならない。本書の成立は、遠景には東アジアで勃興した仏性論争史があり、近景には、天台宗の最澄(766・767 - 822)や南都法相宗の徳一(生没年未詳)との間で繰り広げられた三一権実論争に起因する。また、源信の師である良源(912 - 985)が、法相宗の仲算(935 - 976)と火花を散らした「応和の宗論」にも影響を受けたと想像される。『一乗要決』は、単に宗派間の争いに止まらず、中国・朝鮮半島の文献まで広く遡及し、思想史的な論証を試みている。本書の冒頭にも記されているが、この時の源信の年齢は65歳を迎え、病床に臥していた。そのため、自己の死期を覚り、弟子の協力を得て、『一乗要決』の撰述に踏み切ったのである。

 たとえば「悉有仏性」の論点に関して言えば、主に『涅槃経』をめぐる教説が議論の要となる。中期大乗経典にあたる『涅槃経』は、衆生の機根の根源的課題を「一切衆生悉有仏性」の思想として宣説した。ただ、この「一切衆生」という言語のもつ意味が一体どのような範囲まで及ぶものか、東アジアでは活発に議論されるようになる。その発端を生み出した人物が、貞観十九年(645)にインド求法の旅から帰朝した玄奘三蔵(602 - 664)に他ならない。玄奘が翻訳した『瑜伽師地論』、『仏地経論』などの新訳経論には衆生の機根を「五種姓」に分類する教説が説き明かされた。さらに、顕慶四年(659)には弟子等と共に『成唯識論』が糅訳され、「五姓各別」(五性各別)が確立する。
 この点、中国唐代では悉有仏性説(一切皆成説)を主張する者らが批判を加えていく。そして、日本の平安期に至ると、三論や天台の学派が同じく一切皆成説を主張していくのである。つまり、『一乗要決』の撰述とは、玄奘以来勃興した350年の仏性論争史に決着をつけるべく主体的課題を担うものと言えるだろう。

 本研究会では、『一乗要決』の文脈で語られる三乗・一乗の思想や五性各別・悉有仏性の議論が、源信の成仏論として一体どのように具現されていくのかを明らかにする。こうした思想史的な見通しを立てることによって、後の親鸞が生み出した「誓願一仏乗」を見極めることができよう。
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