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研究活動報告
近現代『教行信証』研究検証プロジェクト
 2020年9 月30日、真宗大谷派聖教編纂室主任編纂研究員(当時)の本明義樹氏を招聘(しょうへい)し、研究会を開催した。今般の研究会は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を考慮し、オンライン会議システムによるリモート形式での開催となった。講師の本明氏は、宗祖自筆の坂東本『教行信証』の翻刻作業に長く参画してこられた。その作業を通しての見地から、坂東本が広く公開されてきた現代だからこそ見出される『教行信証』研究の課題について、ご講義いただいた。ここにその一端を報告する。 (真宗大谷派教学研究所助手 藤原 智)

『教行信証』の「現代的解釈」に
 向けての課題
    ――聖教編纂を通して


元 真宗大谷派聖教編纂室主任編纂研究員
(現 大谷大学文学部専任講師)
本明 義樹 氏
■ 親鸞の思索の跡
 『教行信証』とはどのような書物か。それは聖教を学ぶなかで親鸞が出遇った、浄土の真実を明らかにする教言を抜き出して摭い集めたものです。しかし、単にそれだけではなくて、非常に多くの労力をかけて訓点が加えられ、どのように教言を受けとめ読み解いたのかが明らかにされています。私はその訓点に注目しています。そこにこそ、親鸞の思想形成や思想内容が非常によく表れていると考えるからです。また当初つけていた訓点を改めて書き直すなどの思索の跡を見ていくと、それは単なる推敲ではなく、そこに親鸞の思想表現の奥行きを感じることもできます。その思索の跡に触れることが、教言の一字一字に向き合い、自身への呼びかけとして聞思された親鸞その人に出遇うことでもあるのだと、編纂業務に携わらせていただくことを通して感じました。

 親鸞が最晩年まで課題にしていたことを確かめる上で、書き改めの箇所は一つの視点を与えるものと思います。その中で注目されるのが、普通の文章を命令形に書き改めているところが多く見受けられることです。この改めは教言を親鸞自身への呼びかけ、勅命として聞くべきものとして表現し直されたものだと考えています。そして、その聞き得た呼びかけが深まり、具体化されたものが訓読化されている。このように、親鸞が教えを聞き続け、最晩年まで歩まれたということが、訓読の表現を通して読み取ることができるのだという視点をもっておく必要があると思っています。
■ 坂東本を解釈する上での課題
 次に『教行信証』を解釈する上での課題について、存覚の『六要鈔』を見ますと、奥書に「祖徳報謝のため、仏法弘通のため」と、註釈を加える目的・理由が掲げられています。これは、私たちが現代的解釈を行い、公開していく上で必要な動機や意味づけにあたるものです。「弘通」のために註釈を行う。そこには読みやすさと理解しやすさというものが、当然必要となります。ですから、註釈することで曖昧さをなくし、欠落している部分は補い、読みにくい部分は改訂するという方向へ向かいます。しかし、曖昧さやわかりにくさが捨象されていくことも、逆に問題となってきます。

 そういうことを踏まえた上で、あらためて弘通していくということの意味を考えていかなければなりません。そのためにも親鸞が「聞思して遅慮することなかれ」と語られているように、聖教を聞思する、声として聞いていくということを常に意識しておくことが非常に大事です。

 坂東本を読み解いていくとき、どうしても私たちはテキストとして視覚的に見て、解釈し、理解しようとします。しかし、それに加えて声を聞き取るというか、文字に表れていない、行間や撰述の背景にあるようなものも含めて、読み取っていくような視点が必要です。ですから、坂東本をテキストとしていく以上は、そこにあるわかりにくさや曖昧なものや表現の揺れ、そして文字の背景にあるものまでも感じることのできるような形で公開することが、現代的解釈を行う上で、私たちに与えられた課題ではないかと思っています。
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