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研究活動報告
「三宝としてのサンガ論」研究会
 本研究会では、三蔵(経・律・論)の中の律蔵(りつぞう)に注目して、釈尊とその弟子たちが集う集団において、いかなる現実があり、彼らがいかなる問題と対峙したのかという点を考察している。主なテキストには漢訳律蔵の『四分律(しぶんりつ)』を用い、適宜、他の律を参照するという方法で進めた。本報告では、研究会の中で注目や議論の的となった主な内容を中心に、その一部を報告する。

律蔵から読み解くサンガの特色
  ―『四分律』受戒犍度を中心として―

親鸞仏教センター研究員
戸次 顕彰
■ 「受戒犍度」全体の構造と分岐点
 『四分律』「受戒犍度」(じゅかいけんど)の前半部分は、釈尊の誕生・出家・成道・初転法輪など、釈尊の生涯の最初期の様相が記録されている。初転法輪以降、釈尊を中心とするサンガは徐々にその規模を大きくしていくが、それが「大比丘衆千二百五十人」の集団形成に至って以降、「受戒犍度」の体裁・内容が大きく変わっていく。すなわち「千二百五十人」以前は、釈尊の足跡を時系列に記録する仏伝的体裁であるのに対して、「千二百五十人」以降では、教育・受戒に関する諸規定が説かれていくという内容になっている。その詳細は紙幅の関係で割愛せざるを得ないが、初転法輪直後のような小規模で平和的なサンガであったのが、一転して律の規則によって比丘たちの生活を規定していくようなサンガの形態へと変化したと言える。大規模化により比丘たちの隅々にまで釈尊の眼が行き届かなくなり、釈尊の説いた法と律とによって運営されるサンガへと変化していったと言えるであろう。
■ サンガの教育制度――和尚法と弟子法
 このような教団の大規模化によって、サンガには「未だ教誡(きょうかい)を受けざる者」が出現し、行儀作法の乱れが生じることとなった。さらにこれらのことと並んで、重大なことのように記述されているのが、病人看護の問題である。ある一人の病比丘を看病する人がいなかったために、その比丘が命終してしまったという問題が起こり、そこで釈尊が定めたのが和尚と弟子の制度であった。

 「受戒犍度」では、和尚となって具足(ぐそく)戒を授さずけることのできる資格条件が徐々に制定されていく様子が記載されるが、本研究会で注目した点は、サンガの和尚と弟子の関係が、教育する側・される側といったような一方的な師弟関係ではなく、先に記した病気の看護が象徴するように、相互に支え合うような関係にあることである。例えば、和尚が道を踏み外はずしそうになった際には、弟子が和尚を勧奨(かんしょう)して正しい方向へ導くことが弟子のつとめ(弟子法)として課せられていることからも、こうした関係性が推察される。ちなみに仏教語の弟子とは、「教えを学ぶ者」というような意味でsissa, antevāsika,antevāsinという語が知られるのに対して、パーリ語で伝わる律の当該文では、漢訳の「弟子」に対応する言葉が「共に生活する者」といった意味を有するsaddhivihārikaとなっている。釈尊のサンガにおける和尚と弟子の関係とは、共に仏道を歩む仲間としての意味があったのではないかと考えている。
■ サンガにおける比丘たちの序列について
 また、和尚と弟子の関係と同様に注目される点は、比丘たちの序列がどのようであったのかという問題である。これを考える上で興味深いエピソードが、漢訳『五分律』の「受戒法」(『四分律』では「受戒犍度」に相当)末尾にある。
 それは、比丘たちの間で当初、上下の序列がなく、お互いを恭敬(くぎょう)し合っていなかったという状況が記され、それを在家者に指摘・批判されたという話である。在家信者の立場からすれば、複数の比丘を食事に招待するときなどの座次や、供養・礼拝の順番をどうすべきかといった疑問があり、比丘たちの間に序列が無くては困るという問題が生じたと考えられる。

 そこで釈尊はまず諸比丘に意見を求めた。比丘たちからは、各々の在家時代の出身階級や家柄、あるいは学習・修行の度合いで序列を決めるべきだという複数の意見が出た。しかし、いずれの意見も釈尊は却下し、ここでキジとサルとゾウの三匹の動物にまつわる昔話(※詳細は紙幅の関係で割愛するが、同様の故事が『四分律』「房舎犍度」(ぼうしゃけんど)や『大智度論』にも見られる)をして、法臘(ほうろう:具足戒を受けてからの年数)によって上座・下座を決めるに至った。このことは、和合を尊重するサンガの特徴を如実に示すものであり、たとえ形式的であっても現代の教団が法臘制度を遺すことの意義や理念を考える上でも重要な点である。

(文責:親鸞仏教センター)

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