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研究活動報告
聖典の試訳:『歎異抄』研究会
 『歎異抄』は、序と第十二条と第十五条で「易行(いぎょう)」という言葉を三回使っている。「易行」の表層の意味は、「易(やさ)しい行」という意味である。難しい行では、人間にとって普遍妥当性をもたない。「易行」だけが普遍妥当性をもつ。救いの普遍妥当性という面では、「易行」が「難行」を凌駕(りょうが)する。しかし、「易行」の深層の意味は、相対的な「難易」の「易」ではない。つまり、「簡易な努力」ではなく、「人間の努力をまったく必要としない」という意味である。
 ここまでくると、人間の側からは一切、手も足も出ない。人間が未解決の問題に出合ったときには、「いかにしたらよいか?」というハウツーの問い方しか出てこないからだ。実は、そのような問い方を撤回させる機能が「易行」なのである。「いかにして?」と問う以前に、すでに〈人間〉として生まれ、紛(まぎ)れもなく生きている事実があるからである。(武田定光)
『歎異抄』試訳 <第十二条> その2 >> PDF版はこちら
原文
 当時、専修念仏(せんじゅねんぶつ)のひとと、聖道門(しょうどうもん)のひと、諍論(じょうろん)をくわだてて、わが宗こそすぐれたれ、ひとの宗はおとりなりというほどに、法敵もいできたり、謗法(ほうぼう)もおこる。これしかしながら、みずから、わが法を破謗(はほう)するにあらずや。
現代語訳
 このごろ、専修念仏者と自認するひとと聖道門のひとが互いに議論を吹っかけて、「私の教えこそ優れている。あなたの教えは、劣っている」と、そのような表現をするから、教えの敵対者もあらわれ、また、仏法を損なう罪を犯すことになる。しかしこのような態度は、かえってみずから自分自身の仏法を破壊し、謗(そし)ることになるのではないか。
 たとい諸門こぞりて、念仏はかいなきひとのためなり、その宗、あさしいやしというとも、さらにあらそわずして、われらがごとく下根(げこん)の凡夫(ぼんぶ)、一文不通(いちもんふつう)のものの、信ずればたすかるよし、うけたまわりて信じそうらえば、さらに上根(じょうこん)のひとのためにはいやしくとも、われらがためには、最上の法にてまします。たとい自余の教法はすぐれたりとも、みずからがためには器量およばざれば、つとめがたし。
 たとえ、さまざまな仏教諸派の学者たちが、みな口をそろえて、「念仏は能力のないもののためのものだ、その教義は、浅薄で低劣だ」と非難したとしても、まったく言い争わないで、「私たちのような、自らの力では仏に成(な)れない、愚かな、そして文字ひとつの意味も領解できないものでも、信ずることによってたすかる教えだと、聞かせていただいて信じているのだから、自らの力で仏に成れると思っている優秀なひとには、取るに足らない教えであっても、私たちにとっては最上の教えなのである。たとえ、念仏以外の教えが優れていたとしても、自分の能力にぴったりこないので、その教えを生きることはできない。
 われもひとも、生死(しょうじ)をはなれんことこそ、諸仏の御本意(ごほんい)にておわしませば、御(おん)さまたげあるべからずとて、にくい気(け)せずは、たれのひとかありて、あたをなすべきや。かつは、「諍論(じょうろん)のところにはもろもろの煩悩(ぼんのう)おこる、智者遠離(ちしゃおんり)すべき」よしの証文そうろうにこそ。
 自他ともにあらゆる人びとが、迷い苦しみに満ちた生活から解放されることこそが、すべての仏の究極的な願いであるのだから、どうか念仏者の邪魔をしないように」と言って、私たちがことさらに逆らわなければ、どのような人間が、敵意をあらわすだろうか。そのうえ、「論争をすると、さまざまな煩悩が起こる。だから、知恵あるものは、それから遠ざからねばならない」という、確かな教えの言葉もあるのである。
(原文は、東本願寺発行の『真宗聖典』を参照した)
(訳・語註:親鸞仏教センター)
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