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研究活動報告
聖典の試訳:『歎異抄』研究会
 「トランスレーター(翻訳者)はトレーター(反逆者)である」という諺が、西欧にはあるそうだ。「現代語訳」という作業には、つねにトレーターの罪悪感がつきまとう。本来、翻訳することの不可能な言葉を、現代語に変形させるからだ。だから「親鸞がそんなことを語ったのか」と詰め寄られれば、「そう語られたという証拠はない」と答えざるをえない。
 しかし、それでは逆に「親鸞がそのように語らなかったという証拠はあるのか?」と問えば、それには誰も答えることができない。あるいは、現代に親鸞が生きていれば、そのように表現しなかったという保証もない。だとすれば、ごく限られた現代の「個」の実感から「普遍」へと共鳴する言葉を模索することも無意味ではないと思われる。(武田定光)
『歎異抄』試訳 <第七条> >> PDF版はこちら
原文
 念仏者は、無碍(むげ)(1)の一道なり。そのいわれいかんとならば、信心の行者には、天神地祇(てんじんじぎ)も敬伏(きょうぶく)し、魔界(まかい)(2)外道(げどう)(3)も障碍(しょうげ)することなし。
現代語訳
念仏は、「無碍の一道」である。その理由(わけ)は、信心の生活者に対しては、天の神・地の神も敬ってひれ伏し、また、人間の生活を脅かすものや、人間の理性を誘惑するものなどにも引きずられることはないからである。
 罪悪も業報(4)を感ずることあたわず、諸善もおよぶことなきゆえに、無碍(むげ)の一道なりと云々
 自分のおかしてきた罪の結果も、自分を脅迫するものとして感ずることはない。また、人間のつくるどのような善も、如来の大悲のはたらきには及ぶものではない。だから、念仏は「無碍の一道」なのである。
(原文は、東本願寺発行の『真宗聖典』を参照した)
語注
(1) 【無碍】無碍は有碍(うげ)に対する言葉。さわりのないこと。
(2) 【魔界】人間に誘惑や恐怖を感じさせて、堕落や諸々の災厄を引き起こすと思われているもの。例えば、死魔・病魔・煩悩魔等。
(3) 【外道】仏道に外れた思想。ここでは、本願力によらないで、救済されると考えるすべての思想。
(4) 【業報】一般的には、過去の善悪の行為が現在の報いをもたらすという意味である。つまり、経験の蓄積が人間を形成していき、善悪の行為の結果が現在の自己の状況となっているという、存在の責任感を表す言葉。ここでは、この責任感の重圧に苦しめられる人間存在に対して、如来のはたらきにまかせれば解放されるということを述べている。
(訳・語註・補注:センター)
『歎異抄』試訳 <第八条> >> PDF版はこちら
原文
 念仏は行者のために、非行非善(1)なり。わがはからいにて行ずるにあらざれば、非行という。わがはからいにてつくる善にもあらざれば、非善という。
現代語訳
 南無阿弥陀仏は、信心の生活者にとって、「行でもなく善でもない」。それは、自力の思いで称えるものではないから「行ではない」というのである。人間の意志でつくることのできる善でもないから、「善ではない」というのである。
ひとえに他力にして、自力(2)をはなれたるゆえに、行者のためには非行非善なりと云々
 全面的に本願のはたらきであって、人間の思いを超えているから、信心の生活者にとって念仏は「行でもなく善でもない」のである。
(原文は、東本願寺発行の『真宗聖典』を参照した)
語注
(1) 【非行非善】親鸞は、念仏を如来の本願の行(大行(だいぎょう))であり善である、とあきらかにされている(『教行信証』「行巻(ぎょうのまき)」)。ここでは、念仏が人間の目的意識でつくる行為や善行ではないことを示して「非行非善」といわれる。
(2) 【自力】親鸞は、自力について次のように述べている。「自力(じりき)というは、わがみをたのみ、わがこころをたのむ、わがちからをはげみ、わがさまざまの善根(ぜんごん)をたのむひとなり」(『一念多念文意』)とある。
(訳・語註・補注:センター)
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