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研究活動報告
聖典の試訳:『歎異抄』研究会
 あらためて、現代語意訳をすることの難しさを感じている。意訳とは、その作業過程にどれほどの議論が尽くされていようとも、結果的には言葉の置き換えにならざるを得ない。議論を重ね、三百六十度まわって、もとの原文の言葉を残した場合もある。議論の過程は、結果にはあらわれない。安全策を取るならば、もとの言葉を多く残しておく方がよいに違いない。誰からも間違いを指摘される心配はない。しかし、できるだけ現代人の感性に響く言葉へ翻訳することが、当センターの意図するところでもあろう。
 『歎異抄』の言葉を、現代を生きる<私>がどう受けとめ、どう現代語で投げ返すのか。この制約の前にたじろぎながら、身悶えながら作業を続行している。(武田定光)
『歎異抄』試訳 <第三条> >> PDF版はこちら
原文
 善人(ぜんにん)なおもて往生をとぐ、いわんや悪人(あくにん)をや。
現代語訳
 善人でさえも、真実の自己になることができる。まして悪人はいうまでもないことである。
 しかるを、世のひとつねにいわく、悪人なお往生す、いかにいわんや善人をや。この条(じょう)、一旦(いったん)そのいわれあるににたれども、本願他力の意趣(いしゅ)にそむけり。
 ところが、世間では「悪人でさえ真実の自己になれるのなら、まして善人はいうまでもないことである」といわれている。このことは、一応、もっともなようであるけれども、阿弥陀如来の本願の御(おん)こころに背(そむ)くものである。
そのゆえは、自力作善(じりきさぜん)のひと(1)は、ひとえに他力をたのむこころかけたるあいだ、弥陀(みだ)の本願にあらず。
 その理由(わけ)は、自分の力でいつでも善をなしうると思っているひとは、一心に本願をたのむこころが欠けているのだから、弥陀の本願に沿うものではないのである。
 しかれども、自力のこころをひるがえして、他力をたのみたてまつれば、真実報土(2)(しんじつほうど)の往生をとぐるなり。煩悩具足(ぼんのうぐそく)のわれらは、いずれの行(ぎょう)にても、生死(しょうじ)をはなるることあるべからざるをあわれみたまいて、願(がん)をおこしたまう本意(ほんい)、悪人成仏(あくにんじょうぶつ)のためなれば、他力をたのみたてまつる悪人、もっとも往生の正因(しょういん)なり。
 しかし、そのような善人も自力のこころを妄念であると気づいて、本願力にすべてをまかせることができるならば、阿弥陀如来の真実の世界へ生まれることができるのである。自らの煩悩(欲望・不安・後悔等)に振り回されている私たちは、どれほど人間的な努力を尽くしてみても、そうした苦しみの生活から解放されることはありえない。このような私たちを深く悲しまれて、本願をおこしてくださったのである。その本願の御こころは、そのような悪人をこそ真に解放してくださるのである。だから、他力にすべてをおまかせする悪人の自覚こそ、真実の自己になる根本的要因なのである。
 よって善人だにこそ往生すれ、まして悪人はと、おおせそうらいき。
 それで、善人でさえも真実の自己になれるのであれば、なおさら悪人はいうまでもないことである、とおっしゃったのである。
(原文は、東本願寺発行の『真宗聖典』を参照した)
語注
(1) 【自力作善のひと】自分の意志のみで、どのような条件にあっても善を行えると思っている人。
(2) 【真実報土】如来の大悲によって、いまここに開かれてくる明るい真実の世界。
(訳・語註・補注:センター)
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